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早期退職優遇制度規程

早期退職優遇制度規程のテキスト

       早期退職優遇制度規程
(目 的)
第1条 この規程は、永年勤務し会社に貢献した社員の充実した生涯設計を支援するため、会社が実施する「早期退職優遇制度」について定めたものである。

(定 義)
第2条 早期退職優遇制度とは、社員自らの希望により、定年を待つことなく第二の職業生活を迎えるための退職と、それに伴う退職金等の優遇措置をいう。

(適用対象者)
第3条 早期退職優遇制度は、この制度による退職を希望する日(以下「希望退職日」という)において、満50歳以上かつ勤続年数10年以上の社員(パートタイマー、嘱託社員を除く)であって会社が認めた社員を適用対象者とする。

(適用除外)
第4条 前条にかかわらず、次のいずれかに該当すると会社が認定した社員は、本制度を利用することができない。
    ① 転職先が会社と競業する他社であって特に支障がある者
    ② 私傷病により休職中の者
    ③ 本制度への申込前3年以内に会社より懲戒処分を受けたことがあるなど、社員として相応しくない行為があり本制度による優遇措置が適当でない者
    ④ 前各号の他、会社が不適当と認めた者

(優遇措置)
第5条 本制度により退職する社員には、次の優遇措置を与える。
    ① 退職金の支給において、退職金規程第○条に定める会社都合による定年年齢の退職とみなして計算する
    ② 退職前2ヵ月から1ヵ月前までにおいて、就業規則第○条に定める年次有給休暇の他、7日の有給休暇を与える

(申込み方法)
第6条 本制度による優遇措置を受け退職することを希望する社員は、所定の用紙に退職後の再就職先、自営、その他の職業等の見込みと、希望退職日を記入の上、総務部に提出して申込みしなければならない。
 2. 前項の申込みは、原則として希望退職日の6ヵ月前から受付け、1ヵ月以内に審査の上で本人に宛てて通知する。

(退職日)
第7条 本制度により会社が承認した者の退職日は、申込者の希望退職日が申込日より3ヵ月以上先の場合は原則としてその日とし、3ヵ月未満の場合は、申込日より3ヵ月以内で会社が決定した日とする。
 2. 前項にかかわらず、会社と申込者が合意したときは、他の退職日にすることができる。

(退職金の支給日)
第8条 第5条1号の退職金の支給日は、退職金規程第○条の支給日の定めを準用する。

(有給休暇取得日の賃金)
第9条 第5条2号の有給休暇を取得した日の賃金は、就業規則第○条の年次有給休暇の取得日の賃金の定めを準用する。

(適用の取消し)
第10条 第6条2項の制度適用の通知をした後であっても、第4条の適用除外に該当した社員や、誠実な業務の引継ぎに努めなかった社員には、本制度の適用を取り消すことがある。

付 則

 1. この規程は、令和○年○月○日から実施する。
 
趣 旨

 高齢化社会の到来により、高齢者の活用が叫ばれる今日ですが、企業が長期にわたって活動を続けるためには、活力のある若い人材を取り入れ、高齢となった人材を排出する効率的な循環が不可欠です。
 社員の年齢構成と人件費の関係を考えてみましょう。会社の収支バランスが変わらない限り、新たな社員の人件費や各年の社員の昇給の原資は、退職者によって削減された人件費に期待することになるのです。
 企業の労働力の大部分を占める正社員は、一般に期間の定めのない雇用契約であるため、その契約の終了は、労働者が途中で退職を申し出ない限り、定年により迎えることになります。
 しかし、会社の現在の経営状況において、順番に定年を迎える年月をゆっくりと待つことが許されないとすれば、会社は何らかの方法により人件費の削減策を用意しなければなりません。
 最も切迫した段階では、整理解雇という手段を取ることになりますが、そのような社内の雰囲気にも大きな打撃を与える手段を取る前段階として、退職者を募集することが有効です。
 このような、一時的に希望者を募って実施される雇用調整手段を、一般に「希望退職制度」といいます。
 また、希望退職制度に似た制度として、「早期退職優遇制度」があります。これは、希望退職制度と違い、一般に常設の制度であって、緊急的な雇用調整よりも社員の転職支援を前面に出したものです。
 これらの違いを表にすると次のとおりです。

早期退職優遇制度と希望退職制度の比較
	早期退職優遇制度	希望退職制度
目的	転職支援	退職勧奨
実施期間	常設	短期・緊急

 ただし、どちらも退職金に割増金を設けるなどにより優遇する措置を設け、年齢構成や人件費の改善を目的としていることは共通しています。
 なお、これらは、会社ごとに考え方も違えば呼び方も違い、実際は緊急性があっても、社員へ本来の目的を隠して実施されることもあるため、明確な区別をし難いともいえます。
 ここでは、早期退職優遇制度についてモデル規程を紹介しますが、希望退職制度として実施する場合の相違点についても解説しておきます。

ポイント

1.目的
 早期退職優遇制度と希望退職制度は、理論的に異なる制度でありながら、実際の運用においては似通ったものだといえます。また、社員個々においては、十分に理解が浸透した制度ともいえないため、会社として目的や定義付けを明確にし、誤解のないように伝える必要があります。
 特に、希望退職制度として緊急の対策を実施するのであれば、この施策によって、将来の経営が安定化されるのだということを残された社員へ十分に伝えることが重要です。
 ⇒モデル規程 第1、2条

2.適用対象者
 制度を適用する対象者について、規定しておく必要がありますが、一定年齢以上の制限を設ける場合が多く、更に勤続年数による条件を付ける場合もあります。
 一般的には、希望退職の方が年齢を低く設定する傾向にあります。
 なお、このような退職者の募集においては、本来残って欲しい人材が応募することもあり、モデル規程では最終的に「会社が認めた者」に限ると規定しました。ただし、合理的な理由もなく引き止めることはできません。
 また、退職金の増額のメリットを与えることからも、優遇措置の対象に相応しくない者や退職が予定されている者などは除外することを明記しておきます。
 ⇒モデル規程 第3、4条

3.募集期間と申込み方法
 早期退職優遇制度は、常設の制度であるため特に期間は設けませんが、希望退職制度は、緊急的な施策であることや早期に会社の対応を決定し社内の動揺を沈める必要があることなどから、一定の時期に効率よく対象者を募集し決定する必要があります。一般的には、1ヵ月程度を募集期間としています。
 また、申込み方法としては、適用除外となる事項のチェックと希望退職日を盛り込んだ様式により一定の時期に提出させます。

ここを検討!
・希望退職制度ですか、早期退職優遇制度ですか。
・その対象者、募集期間はどのようにしますか。

4.優遇措置
◆優遇措置の例
 優遇措置として、一般的には退職金の増額を行います。増額の方法としては、定年の場合の「支給率」や「勤続年数」で優遇するものや、一定の額の「特別加算」を行うものなどがあります。
◆退職金の割増額
 では、優遇措置として、通常の退職金より、どれだけ多く支給するべきでしょうか。平均的に1,000万円を超える割増がされているとする統計もありますが、中小企業では難しい額です。
 早期退職優遇制度、希望退職制度などの別により、応募者が出る程度で、可能な支払原資の額、削減される人件費により1~2年で取り返せる程度の額、などの条件から検討されるべきでしょう。

ここを検討!
・優遇措置の内容は、どのような内容、水準にしますか。

5.雇用保険の離職事由
 希望退職制度に応募して離職する場合の雇用保険の取り扱いは、その希望退職制度が「人員整理を目的とし、制度の導入が離職前1年以内で、かつ募集期間が3ヵ月以内のもの」に該当するときは、「事業主都合」による退職として給付制限(自己都合退職では求職申込後しばらくは給付金が支給されないこと)を受けず、「特定受給資格者」として所定給付日数も延長されます。

6.希望退職制度の場合の規定例
 モデル規程では、早期退職優遇制度を掲載しましたが、希望退職制度として実施する場合は、次の規定例を参考に修正して下さい。また、申込み方法や退職日などについても、別途確認して下さい。

早期退職優遇制度規程を書き直して希望退職制度規程にする場合の主な相違点
(目 的)
第○条 この規程は、会社の収支の改善を目的として実施する「希望退職制度」について定めたものである。

(定 義)
第○条 希望退職制度とは、希望者の募集により実施する中高齢社員への退職勧奨と、それに伴う退職金等の優遇措置をいう。

(募集期間)
第○条 この規程による希望者の募集期間は、次のとおりとする。
     令和○年○月○日から 令和○年○月○日まで

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