経営方針①(大会社・建設業)
経営方針①(大会社・建設業)のテキスト
経営方針
<○○年度 経営方針>
1 環境の変化と当社の現状
建設市場における競争は一段と激化している。受注工事の内容も厳しさを増しており、収益性にも影響が出てきている。
当社は昨年度、保有不動産を中心に資産の見直しを実施した。その結果、バランスシートの改善が進み、財務体質は強化された。これにより、資本市場における当社の評価は高まり、債権格付けも上昇、将来への足がかりができた。
しかし、その一方、多額の特別損失を計上したため、株主資本は大幅に減少する結果となった。今後は、利益を確保し、自己資本を充実することが経営の最大課題となる。
2 年度目標
今年度は経営計画の中間年度であり、最終年度の目標をクリアするために、重要な意味を持っている。年度目標受注高○○億円達成に向けて全力をあげていただきたい。財務体質の強化、グループ経営の健全化を進めるためには、利益の確保が必要である。利益確保は施工部門だけの役割ではない。営業部門はもちろん、間接部門も利益を年頭に役割・組織を見直す必要がある。
3 今年度の施策
すでに経営計画に従い、各部門で実施方策を着実に推進しているが、現在の厳しい環境を勘案し、当面実施すべき重点課題は以下のとおりである。
(1)市場の変化に対応した受注活動
・成長分野における受注拡大
建設投資が縮小する中で、成長が期待できる分野への営業活動を強化していく。都市再生関連分野では、当社の人材・ノウハウ・実績を活かして、大型開発事業や都市インフラの受注を伸ばしていく。また、リニューアル分野では、現業・営業が一体になって、組織的な受注活動に取り組む。環境・エンジニアリング分野では、当社の技術を活かした提案を積極的に行い受注に結びつける。海外分野では、永年の経験を活かしたODA案件への注力のほか、アジア地域での社会資本整備や製造業の海外移転などに伴う受注を拡大する。
・入手時検討の徹底
市場環境を考慮すると、熾烈な競争は今後も続き、採算の厳しい工事は増加すると予測される。しかし、会社経営の最終目標は利益額の増大であることを再認識してもらいたい。
不採算工事は経営基盤を揺るがすことになる。工事入手に際しては、事前の徹底的な検討を実施していく。
(2)工事利益の確保
集中購買・情報の一元化をはじめとするさまざまな施策の実施により、完成工事利益率は数年前と比較して格段に向上した。今後も更なる原価の低減を目指して、業務標準の確立、施工面での合理化等の施策を推進していく。
(3)経費の削減
販管費・施工管理費だけでなく作業所経費も含めて大胆に見直し、削減を実施する。従来の業務のやり方を見直し、費用対効果の低いものの廃止を一段と加速していく。
(4)人材の流動化
市場の変化にすばやく対応して、最大の資源である社員の配属を柔軟に行う。支店においては最小限の要員配属とし、本社各本部は支店支援体制を整備し、支店への増強が必要な場合には即応できる状態にしていく。
年功序列の崩壊は必然的な動きである。当社においても、年齢・資格にとらわれず、社員の能力・適性に応じた職場への配置転換を実施する。
以上、今年度の経営方針を述べたが、実行にあたっては、以下のような意識を持って取り組んでいただきたい。
第一につねにスピードを心掛け俊敏に行動する。
第二に上司の指示を待つだけでなく、下位上達を積極的に行う。
第三に自分の能力だけに頼らず、会社の組織や回りの人の力を十分に活用する。
第四に上司は、部下が頼りにし頼みごとをし易い雰囲気づくりに努める。部下にうまく使われることも、仕事を進めるうえで大切なことである。
社員全員が危機感を共有し、力を合わせて、今のT工業に打ち勝つような強い会社づくりを目指して頑張ろう。