戦略物質・技術に関する管理規則(大会社・建設業)
戦略物質・技術に関する管理規則(大会社・建設業)のテキスト
戦略物資・技術に関する管理規則
第1章 総 則
(目 的)
第1条 この規則は、当会社(以下「会社」という。)が、戦略物資等(以下「戦略技術」を含む。)の輸出(以下、直接、間接を問わない。)を行うことに関し、日本国の「外国為替及び外国貿易法」(以下「外為法」という。)およびその関連法令を遵守する目的で制定する。
(基本方針)
第2条 すべての役員および従業員が、この規則を理解し、適法な輸出管理手続を行うことができるよう、管理体制を明確化し、この規則の周知徹底を図ることによって、法令遵守の目的を達成する。
第2章 管理組織
(管理組織)
第3条 取締役社長は、会社の戦略物資等の管理の統括部門として、戦略物資管理本部(以下「戦管本部」という。)を設置する。
2 戦管本部長には社長室長を選任する。
(取締役社長の権限)
第4条 取締役社長の権限は、次の各号のとおりとする。
(1)戦略物資等の輸出ならびに「特定地域」および「中華人民共和国」(以下「中国」という。)を仕向地とする輸出に関する受注および輸出の最終可否判断
(2)すべての役員および従業員に対する輸出関連法令遵守のための、この規則ならびに外為法およびその関連法令の周知徹底と教育訓練の実施に関する基本方針の承認
(3)その他、前各号に関連する事項
(戦管本部長の権限)
第5条 戦管本部長の権限は、次の各号のとおりとし、各部門の長に対し、実行のための必要な措置を命じることができる。
(1)戦略物資等の輸出ならびに特定地域および中国を仕向地とする輸出に関する受注および輸出の管理
(2)すべての役員および従業員に対する輸出関連法令遵守のための、この規則ならびに外為法およびその関連法令の周知徹底と教育訓練の実施
(3)この規則の運用状況に関する監査
(4)子会社に対し、当該会社の取締役社長の承認の下に行う、原則として前条第1号から第3号に関する事項の実施
(5)その他、前各号に関連する事項
(営業本部長、事業本部長および事業部長の役割)
第6条 営業本部長、事業本部長および事業部長は、本部内、または事業部内に関し、この規則の周知徹底を図るとともに、この規則の遵守のための管理、監督を行う。
(部長の役割)
第7条 部長は、部内に関し、この規則に基づき、適法な輸出管理手続を実施する。
2 営業担当部長は、第10条から第18条に定める手続きを実施するとともに、受注および輸出の可否判断に必要な情報を収集、審査し、戦略物資等の輸出ならびに特定地域および中国を仕向地とする輸出について、各本部内または事業部内の営業本部長、事業本部長、事業部長および戦管本部長経由による取締役社長の稟議決裁を得て実施する。
3 技術担当部長および製造担当部長は、戦略物資等の該当、非該当の判定、および仕向地による分類の判定に必要な資料を作成し、判定を行う。
第3章 子会社における管理
(子会社における管理)
第8条 会社の子会社は、外為法およびその関連法令の周知徹底を行うとともに、戦略物資等の輸出ならびに特定地域および中国を仕向地とする輸出の場合、この規則に定める手続により実施する。
2 戦管本部長は、必要な場合は、会社の子会社の戦略物資等の管理状況に関し、監査を行う。
第4章 戦略物資等の管理手続
(戦略物資等の管理手続)
第9条 戦略物資等の管理手続は、第10条から第18条に定める手続によって行う。
(該非判定)
第10条 受注または輸出の可否判断を行うため、販売する製品、または提供する技術が外為法に定められた戦略物資等に該当するか否かの判定(以下「該非判定」という。)を行う。
2 会社の製品または技術(以下「自社製品」という。)に関する該非判定は、技術担当部長または製造担当部長が営業担当部長の判定依頼に基づき行う。
3 他社からの仕入製品または技術(以下「他社製品」という。)に関する該非判定は、営業担当部長が、仕入元に判定を依頼し、その結果を基に該非の区分を審査し、判定する。
4 戦管本部長が必要と認めたときは、営業担当部長が経済産業省あてに非該当証明等の申請を行う。
(戦略物資等の仕向地による分類)
第11条 戦略物資等を、特定地域および中国を仕向地として輸出する場合は、仕向地の区分により行政例外、中国行政例外および禁輸戦略物資の区分に分類する。
2 前項の分類手続は、前条第2項および第3項の方法による。
3 営業担当部長は、前項による判定資料を添付して、経済産業省あてに事前調書を提出し、正式判定を受けるものとする。
(顧客審査)
第12条 営業担当部長は、所在地が日本国内および「その他地域」の顧客に対して戦略物資等を販売する場合、外為法に違反して不正に輸出され、または、第三国経由で不正に横流しされることを防止するため、このようなおそれの有無について、顧客の審査を行う。
2 営業担当部長は、不正輸出または第三国経由で不法に横流しされるおそれのある顧客に対して、戦略物資等を販売してはならないものとする。
3 営業担当部長は、戦略物資等を販売する新規顧客等について、不正輸出または第三国経由で不法に横流しされるおそれのある顧客か否かを判定する必要のあるときは、別に定めるハイリスク・プロファイル・チェックを行う。
(受注および輸出の可否判断)
第13条 戦略物資等の非該当品を、日本国内およびその他地域の顧客に対して販売する場合の、戦略物資等の管理上の受注および輸出の可否判断は、営業担当部長が、該非判定結果の正当性を確認のうえ、これを行う。
2 戦略物資等の輸出ならびに特定地域および中国を仕向地とする輸出の場合は、次の各号の基準に基づき、戦管本部長経由による取締役社長の稟議決裁により、受注または輸出の可否判断を行う。
(1)第11条の仕向地による分類が禁輸戦略物資の場合は、輸出を行わない。ただし、経済産業省あて「特認申請」を行い、認められた場合はこの限りではない。
(2)前条の審査の結果、不正輸出または第三国経由で不法横流しのおそれがあると判断された顧客については、戦略物資等の販売は行わない。
(輸出許可申請手続)
第14条 戦略物資等を直接輸出するときは、出荷までに必ず経済産業省に「輸出許可申請書」(技術提携の場合は、「役務取引許可申請書」)を提出し、輸出許可(技術提携の場合は、役務取引許可)を取得する。なお、仕向地が特定地域または中国の場合は、輸出許可申請の前に、経済産業省に「事前調書」を提出し、仕向地の区分の判定による輸出可否の判定を求める。
2 「事前調書」の仕向地の区分の判定結果が「特認申請」を要する場合は、各本部内または事業部内の営業本部長、事業本部長、事業部長の判断を求め、その結果、申請を行うと決定した場合は、戦管本部長経由による取締役社長の稟議決裁を得て実施する。なお、間接輸出に関する販売についても「特認申請」に該当する場合は、これに準じた手続を行う。
3 経済産業省に対するこれらの輸出許可申請手続は、営業担当部長が行う。
(同一性の確認)
第15条 直接輸出の場合、営業担当部長は、通関手続の前に、輸出する貨物の現物が「輸出許可書」に記載の一切の製品、部品および付属品等の製品名、形名、個別の機械番号および数量と一致していることを確認する。
2 営業担当部長は、現物が「輸出許可書」の内容と異なるときは、出荷を認めてはならないものとする。
(不正転売防止措置)
第16条 営業担当部長は、戦略物資等の不正輸出または第三国経由の不法横流れを防止するため、次の各号の措置を講じる。
(1)戦略物資等を輸出する可能性のある国内顧客に販売する場合は、「当該製品は、戦略物資該当品なので、輸出に際しては経済産業省の許可を必要とする」旨を通告する。
(2)戦略物資等を国内顧客に販売する場合に、必要と認めたときは顧客に対し、外為法遵守のための確認書の提出を求める。また、可能な限り、適法に手続が行われたことを確認する。
(3)戦略物資等の販売にあたっては、輸出および国内販売を問わず、見積書、注文書、出荷案内書、送り状および出荷時の梱包等のいずれかに「これらは日本の外為法における戦略物資であり、輸出するときは経済産業省(直接輸出の場合は貴社の所在国)の輸出許可が必要とされる」旨の注意文言を記載する。
(正確な書類作成)
第17条 戦略物資等の管理手続に必要な書類には、当該書類作成者は、正確かつ必要な関連するすべての事実および知識を記載しなければならない。
(書類の管理・保管)
第18条 戦略物資等の輸出に関し、次の各号の書類を作成または入手した場合は、当該書類の作成部門または入手部門が、原本を、出荷後(船積みの場合は船積み後)5年間保管する。なお、作成部門または入手部門が支店、営業所等の場合については、原本を前記と同様に保管し、その写しは縦割担当部門において前記と同様に保管する。ただし、本規程第16条(2)に定める確認書の原本は、戦管本部にて保管し、その写しを入手部門および縦割担当部門が保管する。
(1)販売・取引に関する書類
注文書または契約書、インボイス、パッキングリスト、船荷証券、航空貨物運送状、およびその他重要な書類
(2)戦略物資等の輸出許可手続に関する書類
事前調書、特認申請書、輸出(許可・承認)申請書、役務取引許可申請書、I/C(輸入証明書)、D/V(通関証明書)、輸出申告書、輸出報告書、など
第5章 教育訓練
(教育訓練)
第19条 戦管本部長は、すべての役員および従業員に対し、戦略物資等の管理に必要な教育訓練を行う。
第6章 監 査
(監 査)
第20条 戦管本部長は、各部門の戦略物資等の管理体制および運営状況について監査を行う。
2 監査の実施は、他の者に委嘱することができる。
第7章 罰 則
(罰 則)
第21条 外為法またはこの規則に違反した従業員は、就業規則による懲戒処分の対象となる。
第8章 その他
(制定および改廃)
第22条 この規則の制定および改廃は、戦管本部長が起案し、取締役会の決議によって決定する。
付 則
この規則は、平成○年○月○日から施行する。