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海外出張者安全対策規程

海外出張者安全対策規程のテキスト

               海外出張安全対策規程

第1章 総 則
(目 的)
第1条 この規程は海外出張者が平時において何を心がけ、予めどのような対策を講じておくかをまとめたものであり、対象者が海外において安全に移動・滞在するための安全対策能力の向上を目的として策定されたものである。

(位置付け)
第2条 この規程は当社の安全危機管理体制構築を目的とした海外安全管理規程の一部を構成し、海外出張者の安全に関するガイドラインを定めたものである。

(本規程と社内規程との関係)
第3条 本規程は、当社の海外出張に関する就業規則・規程・内規を補完するものである。そのため、本規程に記載されている対策を厳密に講じる場合、当社の出張及び赴任に関する就業規則・規程・内規と抵触する場合がある。その場合には、記載されている対策は、「講じることが望まれる対策」であることに留意する。決して、当社の出張及び赴任に関する就業規則・規程・内規と抵触してまで講じられるものではない。


第2章 出発前の留意点

(社内手続)
第4条 海外出張(海外現地出張先から第三国への出張者を含む)に関する申請手続きについては、管轄する各地区総務グループに対し、以下の書類を提出する。
① パスポート申請用紙・写真
② 海外出張届
③ コーポレートカード申込書(コーポレートカード保有者を除く)
④ 入国査証に関する手続き書類一式
⑤ 海外自動車運転許可申請書(現地で運転する場合のみ)

(出張国に関する情報収集)
第5条 海外安全対策においては当該国の情報収集が極めて重要である。そのため、出発前に訪問先に関する情報を可能な限り収集、整理し理解を深めることが望まれる。なお、収集する情報及び当該情報の有力な収集源として末尾の(参考文献)を参照されたい。
(所持品)
第6条 以下の書類は、海外出張時に必要な書類である。そのため、出発前に十分確認する必要がある。
① パスポート
② 査証    
③ 航空券
④ 旅行日程表
⑤ 連絡先一覧
⑥ 現金
⑦ クレジットカード(コーポレートカード)
⑧ 予防接種証明書
⑨ 「海外出張安全対策規程」(本規程)
⑩ その他必要書類
パスポート用写真(5枚程度)・本人の健康状態や血液型・アレルギー等の特記事項を英文で示した書類・英文の常備薬処方箋等

(出発前の準備)
第7条 機内持ち込み用手荷物及び機内倉庫用荷物のパッキングに関しては下記事項に十分注意して行う。
① 短期間の出張の場合、極力機内持込手荷物とする。
② 現地持ち込みを禁止している物品を持ち込まない。
③ 機内倉庫用荷物には名前タグを付ける。タグには名前と会社の連絡先を示す。
④ 機内倉庫用荷物はストラップで固定する。
⑤ 会社ロゴ等のシールは付さない。
⑥ 液体類の機内持ち込みは空港によって制限が異なることに留意する。

(移動手段・宿泊先予約)
第8条 航空機の予約は下記事項に注意の上行う。
① 原則としてIATA加盟航空会社を選択する。
② 極力直行便を利用し、特に治安上懸念のある国には明るいうちに入国手続きが完了する時間帯を選定する。
③ 航空券は往復で購入することを原則とする。
2 ホテルの予約は下事項に注意の上行う。
① 午後6時以降のレイトチェックインが可能なことを確認しておく。
② 防火設備が完備しているホテルを選定する。
③ 極力3階~7階の部屋を予約する。また、同一フロア-内では非常口とエレベーターの中間の部屋が望ましい。
3 空港から目的地までの手配は下記に注意して行う。
① 現地受け入れ先と送迎の方法(出迎え者の見分け方等)に関して確認を行う。
② 送迎が不可の場合、公認されたタクシーを利用する。


第3章 移動中の留意点

(移動中における一般的注意事項)
第9条 移動中は特にスリ・ひったくり・置き引きに注意し、財布は身につけた上着の内ポケットあるいはズボンの前ポケットにいれ、手荷物は体から離さない。

(出発空港における注意事項)
第10条 出発にあたっては下記事項に注意する。
① 極力目立たない服装とする。
② 近年は空港でのセキュリティチェックが厳しく、時間を要するため、出発の4時間前には空港に到着するよう心がける。
③ 空港に到着したら速やかにチェックイン・出国手続きを済ませ、待合ロビーで待機する。また、ガラス窓、壁、仕切り付近を避け、非常用経路を確認する。
④ 空港内では決して他人から荷物を預からない。

(航空機での移動における注意事項)
第11条 移動中には下記事項に注意する。
① 移動中は他の乗客や搭乗員と仕事や旅程の話をせず、また仕事に関連した書類を読まない。
② 機内での食事はなるべく少な目とし、アルコールを避け水分の補給に努める。
③ いわゆるエコノミークラス症候群を避けるため、着席時は靴を脱ぐ。また長時間フライトの場合は時々機内を歩く。
④ 着席時は常にシートベルトを着用する。

(到着空港における注意事項)
第12条 到着空港では下記事項に注意する。
① 入国審査では滞在目的・期間・宿泊先が聞かれるので準備しておく。
② 到着空港からホテルまでの間でのトラブルが最も多いことに留意する。手荷物のタグを読み取り、あたかも出迎えを装う白タク運転手もいる。初めての空港では正規の手続きを踏んでタクシー乗車を行う。
③ カートに積んだ荷物の個数を確認し、タクシーに乗車する際には車中・トランク内に分け再度個数を確認する。

(列車での移動における注意事項)
第13条 列車による移動の場合は下記の事項に注意する。
① 列車の時刻表の入手・切符の手配はホテルのコンシェルジュに依頼する。
② 出発・到着ともに明るい時間帯を選定し、12時間以上要する場合には空路の組合せを検討する。また、長時間乗車では食堂車がないことを想定し、食料を準備しておく。
③ 他人から勧められた飲食物は断る。また、馴れ馴れしく近づいてくる人物は相手にしない。
④ 貴重品類は身につける。また全ての荷物はチェーンロック等で固定し、決して頭上の網棚には置かない。

(その他の注意事項)
第14条 着席位置に関しては下記事項に留意した上で選定する。
① 航空機では後部の窓際座席がよいとされている。これはハイジャックに遭った際、特殊部隊等の銃撃戦になった場合最も安全とされるからである。
② 地下鉄ではなるべく中央寄りの車両に乗る。ただし、誰もいない車両は避ける。これは死角での犯罪を防止するためである。
③ バスに乗車の場合は運転手に近い通路側の座席に着席する。これは事故の際に運転手はとっさに自身を守ること、窓際は割れたガラスによる負傷の可能性があるためである。


第4章 出張先での留意点

(ホテル滞在中の注意事項)
第15条 チェックイン時には下記事項に注意する。
① タクシーから下車する際には全ての荷物が積み降ろされ、ベルボーイがロビーに運ぶのを確認する。また、貴重品の入ったバッグは手放さない。
② チェックインの記帳時に床においた手荷物を盗まれるケースが多い。手荷物は常に身体に触れた状態にしておき、容易にひったくられないよう注意を払う。また、記帳において役職は書かない。
③ 再度3階~7階の予約時に要求した部屋位置であることを確認する。
④ 部屋に入ったらベルボーイと共に部屋の隅々までチェックし、疑念がある場合には本人が納得するまでベルボーイに確認する。
⑤ 貴重品はフロントで管理している金庫を利用することが望ましい。
2 ホテル滞在中は下記事項に注意する。
① 国によっては外国人が盗聴・監視の対象となるので言動には注意する。
② 在室中は内側からロックし、さらにドアチェーンをかける。訪問者は必ずのぞき穴からチェックする。また、フロントからの連絡のない修理工事人は入室させない。安易にホテルの制服を信用しない。
③ 内容の分からない小包などは受け取らない。
④ 滞在している都市をあまり知らない場合はジョギング・散歩などは控える。
⑤ ロビーにあるトイレは利用しない。また、ロビー等で自分に注意を払う人物や不審な人物には注意する。
⑥ 室内の清掃は電話でハウスキーパーに直接依頼し、極力朝食時にしてもらう。外出時にはドアがロックされたことを確認後“Do not disturb”の札をかけ、鍵は携行する。
⑦ 不案内な土地での徒歩での外出は避け、タクシーはフロントかベルボーイに依頼する。
⑧ ホテルで火災に遭った場合の注意事項は国内における場合と同様である。インターネット等を利用して対応策を熟知しておく。
3 チェックアウト時は下記事項に注意する。
① チェックアウト時間は予め確認しておく。予定が多少ずれ込む場合は交渉可能なので事前に申し入れておく。
② 料金の明細を確認し、不明点は納得行くまで聞く。
③ チェックイン時にクレジットカードのインプリントをフロントで要求され、支払いを現金で行った場合は、インプリントされたスリップをその場で破棄するのを確認する。

(徒歩での移動における注意事項)
第16条 徒歩での移動時には下記事項に注意する。
① 道が広く明るい通りの歩道の中央を歩き、建物・路地および車道の縁石に近づきすぎない。
② ハンドバッグ・ショルダーバッグは車道と反対側の肩に掛けるか、脇に抱える。
③ 出発前に目的地までの道順を頭に入れておき、歩行中に路上で地図を広げたりしない。
④ 目立つ服装・行動は避ける。高価なものは身につけず、不必要に高額な現金を持ち歩かない。小銭・札入れ・クレジットカードを分散して携帯する。現金は2~3ヶ所に分散する。
⑤ 物乞い・物売り・街娼等不審な人物とは視線を合わせず、会話や論争を避ける。
⑥ 片言の日本語を使ったり、親しげに話し掛けてくる人物には特に注意する。また、飲食に誘ってくる場合も断固とした態度で断る。
⑦ 凶器を持った強盗等に襲われた場合は決して抵抗せず、要求に応じる。

(その他の注意事項)
第17条 麻薬に対し敏感になる必要がある。国によっては合法化された麻薬(例えばオランダにおける大麻)や麻薬の所持に死刑が適用される国がある。また、おとり捜査や密告制度を取り入れている国もある。「高級茶」といって麻薬を売りつけ、当局に密告する犯罪もある。取引先・客先を含め、むやみにものを預からない。
2 節度を保った行動を意識する必要がある。取引先からの接待等で大量に酒を摂取する場合もあるので特に注意する。このような場では仕事上の交渉は行わない。日本では「酔っぱらい」に対して例外的に寛容であり、多くの諸外国では単なる恥ずべき態度であることに留意する。
3 出張先の国情を十分に調査し、合わせた言動を行う。いずれの国においても政治・宗教の話は行わない。写真撮影の制約、イスラム圏での女性との接し方、中国や韓国における日本人同士の会話等は特に注意が必要である。


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