海外事業所被災対策規程
海外事業所被災対策規程のテキスト
海外事業所被災対策規程
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は,海外事業所が大規模な地震,津波,風水害または火災等(以下,単に「地震等」という)で被災したときの対策を定める。
(責任者)
第2条 被災対策の責任者は,現地事業所においてはその事業所の長(以下,単に「事業所長」という),本社においては海外事業部長とする。
2 現地事業所において事業所長を欠くとき,または事故あるときは,次に掲げる者が次に掲げる順序で指揮命令者となる。
(1) 事業所次長
(2) 事業所総務課長
3 本社において海外事業部長を欠くとき,または事故あるときは,次に掲げる者が次に掲げる順序で指揮命令者となる。
(1) 海外事業部次長
(2) 海外事業部総務課長
第2章 被災直後の対応
(社員への避難命令)
第3条 事業所長は,地震等が勤務時間中に発生したときは,直ちに社員に対し,業務を停止して安全な場所に避難するよう命令しなければならない。
2 地震等が終息したときは,直ちに社員の安否を確認しなければならない。
(立入禁止の措置)
第4条 事業所長は,二次災害の防止と資産の保全のため,事業所について立入禁止の措置を講じなければならない。
(被害状況の調査)
第5条 事業所長は,事業所への立入禁止の措置を講じた後,被害状況を調査しなければならない。
2 地震等が夜間または休日に発生したときは,地震等が終息してから出社し,被害状況を調査しなければならない。
(事業継続の可能性の判断)
第6条 事業所長は,被害の調査を踏まえ,事業活動を継続することが可能であるかを判断しなければならない。
判断は,次の4つの区分で行うものとする。
(1) 通常どおり生産業務を行うことが可能である
(2) 損壊個所を修復すれば生産業務を継続することが可能である
(3) 損壊が著しいために,生産業務を継続するのは危険である
(4) 生産業務を継続するのは不可能である
(海外事業部長への報告)
第7条 事業所長は,海外事業部長に対し,次の事項を報告しなければならない。
(1) 地震等の発生日時
(2) 地震等の規模
(3) 社員·建物·機械設備等の被害の状況
(4) 事業継続の可能性
(5) その他必要事項(事業所周辺のインフラの被害状況,取引先の被害状況等)
2 海外事業部長は,事業所長の報告内容を社長に報告する。
(社員の派遣要請)
第8条 事業所長は,次の業務のために必要であると認めるときは,海外事業部長に対し,社員の派遣を要請することができる。
(1) 機械設備の損壊個所の調査
(2) 事業継続の可能性の判断
(3) 機械設備の損壊個所の修理
(4) その他被災対策に関すること
2 海外事業部長は,事業所長から派遣要請を受けたときは,直ちに人選を行い,社長の許可を得て派遣する。
(被害調査社員の派遣)
第9条 海外事業部長は,事業所長から派遣要請を受けない場合においても,必要であると認めるときは,被害状況を調査し,事業継続の可能性を判断するための社員を現地に派遣する。
第3章 事業の継続
第1節 被害が比較的軽微である場合
(事業の継続)
第10条 事業所長は,建物および機械設備の被害が比較的軽微であるために,必要な修理を行えば事業を継続することが可能であると判断したときは,事業を継続するものとする。
(事業継続の手続き)
第11条 事業所長は,事業を継続するときは,海外事業部長に次の事項を申し出てその許可を得なければならない。
(1) 設備等の復旧に要する費用
(2) 設備等の復旧に要する期間
(3) その他必要事項
(許可の基準)
第12条 海外事業部長は,前条の定めるところにより許可の申請があったときは,次の事項を総合的に勘案して許可するかしないかを決定する。
(1) 設備等の復旧に要する費用
(2) 会社の資金繰り
(3) 現地生産の製品の需要動向
(4) その他必要事項
(社長の承認)
第13条 海外事業部長は,事業を継続するかしないかを決定したときは,社長の承認を得なければならない。
2 社長の承認を得たときは,その内容を事業所長に通知する。
(操業再開のための業務)
第14条 事業所長は,事業の継続について本社の許可を得たときは,部下を指揮命令して直ちに操業再開のための業務を開始しなければならない。
(操業の停止)
第15条 事業所長は,被害現場の後片付け,機械設備の修理等のために必要であると認めるときは,一時的に操業を停止することができる。
2 操業を停止するときは,あらかじめ海外事業部長に対し,次の事項を報告しなければならない。
(1) 操業停止の理由
(2) 操業停止予定期間
(3) 操業停止に伴う生産減の見込み
(4) その他必要事項
3 操業停止について,取引先に対して次の事項を通知し,理解と協力を求めるものとする。
(1) 操業停止の必要性
(2) 操業停止予定期間
(3) その他必要事項
(一時休業命令)
第16条 事業所長は,操業停止期間中は,社員に対し一時休業を命令する。
2 一時休業について,社員に対して次の事項を発表し,理解と協力を求めるものとする。
(1) 一時休業の必要性
(2) 一時休業予定期間
(3) その他必要事項
(操業再開時の安全確認)
第17条 事業所長は,操業を再開するときは,機械設備の安全を十分に確認しなければならない。
第2節 被害が甚大であるとき
(被害が甚大であったときの事業継続の決定基準)
第18条 会社は,被害が甚大であるときは,取締役会において次の事項を総合的に評価し,事業を継続するかしないかを決定する。
(1) 被害の程度
(2) 復旧に要する費用の額
(3) 現地生産の経済性
(4) 現地で生産していた製品の需要動向
(5) その他必要事項
2 海外事業部長は,取締役会の決定内容を事業所長に通知する。
(再建計画の策定)
第19条 会社は,現地で事業を継続することを決定したときは,海外事業部において再建計画を策定する。
2 再建計画の内容は,次のとおりとする。
(1) 再建の具体的な方法
(2) 再建期間
(3) 再建のスケジュール
(4) 再建資金の額
(5) 再建資金の調達方法
(6) その他必要な事項
(関係者への説明)
第20条 事業所長は,取締役会において現地事業の中止が決定されたときは,次の者に対してその理由を説明し,理解を求める。
(1) 社員
(2) 取引先
(3) 現地行政当局
(4) その他の関係者
(社員の解雇)
第21条 会社は,現地での事業を中止する場合,原則として現地採用の社員は全員解雇する。
(合弁先との協議)
第22条 会社は,海外事業が合弁の場合,合弁先との間で,次の事項を誠実に協議するものとする。
(1) 事業を継続することの可否
(2) 事業を継続するときは,復旧計画の内容
(3) 復旧費用の負担の割合
(4) 事業を継続しないときは,事業所の跡地の処分方法等
(5) その他必要事項
2 合弁先との実務上の協議は,海外事業部長が行う。
(付則)
この規程は,年 月 日から施行する。