文書管理規程(中小会社・建設業)
文書管理規程(中小会社・建設業)のテキスト
文書管理規程
1.目 的
品質マネジメントシステムで必要とされる文書を管理し、適切な版が、必要なときに、必要なところで、使用可能な状態とすることを目的とする。
文書体系 主な文書名 記載されている内容
第1次文書 品質マニュアル S09001規格要求事項と適合させ、品質マネジメントシステムの確立された手順または参照できる情報、およびプロセス間の相互関係に関する記述したもの
第2次文書 規 程 品質マニュアルで引用され、各機能の手順が詳しく記載され、全社に共通して使用される手順書
第3次文書 要領、手順書 規程の下位文書として、部門および施工プロジェクトで作成された、より具体的な手順書
品質計画書
指示書、通達 プロジェクトの計画書
個別の管理について記載されたもの
計 画 書 経営計画、目標の実施計画、教育訓練計画、内部監査計画、施工計画、などの計画書
一覧表、リスト 業者リスト、有資格者リストなど、メンテナンスが必要なもの
外部文書 当社の組織外で作成された文書
(協力会社の作成した文書は、内部文書として扱う)
2.適用範囲
当社の品質マネジメントシステムで活用する文書の管理に適用する。
文書体系と主な文書とその概要は、前ページのとおりである。
3.責任と権限
品質文書の管理における統括的な責任と権限は、品質管理室長にある。
各部門では部門長、建設現場では現場責任者に文書の維持管理の責任と権限がある。
文書の承認者については、「品質文書一覧表(付表)」(編注、略)による。
4.実施事項
(1)文書の所在の明確化
① 「品質文書一覧表」の管理部門で、文書の原本の所在を明確にする。
② 内部文書・外部文書は、それぞれの部門・建設現場で保管場所を定めて管理する。
③ 品質文書は、ファイル内容が記載されたファイルに綴じて識別をする。
④ 文書の管理は、それぞれの部門・建設現場で、文書管理担当者を定めて管理する。
(2)文書の承認
① 文書は発行前にその内容の適切性を審査し、承認する。
② 審査、承認の手順は「品質文書一覧表」に定められた者が行う。
③ 改訂についても、制定と同じ手順を適用する。
④ 建設現場の「施工品質計画書」の改訂については、目標の変更については部門長が改訂の承認を行い、その他については現場責任者の承認で改訂することができる。
(3)文書の制定・改訂
品質文書が制定されたら、その原本を「品質文書一覧表」で決められた管理部門が管理する。特に定めがない場合は、作成部門が管理部門として管理する。
原本管理の方法には、次のような方法がある。
① 品質マニュアル、規程、要領は、「文書管理台帳」に登録し、最新版の状態がわかるように、版番号と改訂日で管理をする。
② 計画書、通達書などは、品質文書ファイルで原本を管理し、1日版と識別することで、最新版がつねにわかるように管理する。
③ 図面の場合は、図面の原本を定め、追加・変更については原本に記載し承認する。原本を見ることで、最新版の状態がわかるように管理する。
④ 文書の改訂があった場合には・その履歴がわかるように原則として原本に付記する。
(4)文書の定期的なレビュー
各部門長は毎年1度、前期内部監査時期に品質マニュアル、規程、要領の見直しを行う。
各部門の現状の業務と照らし合わせて、品質文書が有効に機能しているかチェックし、文書改訂の必要性の有無について検討する。
① 文書の改訂が必要ない場合には、改訂履歴に見直しの記録を残す。
② 文書の改訂が必要である場合には、文書の改訂案を品質管理室に提出する。
③ 各部門から提出された改訂案を品質管理室において検討し、妥当であると判断された場合には、品質管理室長の確認後、品質管理責任者が承認する。
④ 品質管理室は、承認された改訂案に基づいて、該当文書を改訂する。
(5)文書の配付
品質マネジメントシステムが効果的に機能するために、該当する文書の適切な版が、必要なときに、必要なところで使用可能であることを確実にする手順を次に定める。
① 品質文書を配付する場合は、「配付管理台帳」に文書名、配付先、制定日または改訂日などを記録し、その文書が変更になった場合に、必要とする部門、建設現場、協力会社へ新しい情報を再配付できるようにする。
② 品質管理室は、品質マニュアル、規程、要領を配付する場合には、「最新版一覧表」を添付して配付する。
(6)文書の受領
・品質文書を受領した部門、建設現場は、管理している文書を明確にするために「文書管理台帳」に受け取った文書名などを記録する。
・品質文書は、品質文書ファイルに綴じて管理する。
・「最新版一覧表」を受け取った場合は、台帳のかわりとして管理する。
(7)外部文書の管理
外部文書の管理は、「外部文書管理台帳」に登録して管理する。
① 各部門での外部文書の管理は、部門長が外部文書の原本に承認を押印し、「外部文書管理台帳」へ登録して管理する。台帳と外部文書には管理版号を付けて、識別できるようにしておく。
② 部門の外部文書は勝手な持出しをしない。持出す場合には、外部文書の裏ぺージの「管理カード」に記載のうえ、「管理カード」を部門の文書管理担当者へ提出し借りる。
③ 最新版の管理が必要な外部文書を配付する場合には、「配付管理台帳」に記載のうえ配付し、改訂情報を提供できるようにする。
④ 建設現場での外部文書の管理は、現場責任者が外部文書の原本に承認印を押印し、「外部文書管理台帳」に登録して管理する。
(8)廃止文書・旧版の管理
・廃止文書は、誤って使用されないように廃棄することを原則とする。
・廃止文書を残しておく場合には、「旧版」の識別印を押し、誤って使用してしまうことがないようにする。
・法律上および(または)情報保存の目的で保管されるあらゆる廃止文書は、できるだけ記録として隔離し、旧版」の識別印を押し、誤使用がないようにする。
・品質マニュアル、規程、要領の原本の旧版は「旧版」と表示し、品質管理室で3年間保管する。
(9)管理版と非管理版の管理
文書のコピーには、管理版と非管理版がある。
① 管理版は最新版管理を行い、変更があった場合には、変更情報が間違いなく管理版へ反映されるようにする。配付を行った場合には、改訂版と差し替えるか改訂に関する情報を伝達する。
② 非管理版は、特に改訂情報を反映させない。配付台帳付けも不要である。
管理版と非管理版が混在し識別が必要な場合には、「管理版」または「非管理版」のどちらかの表示によって、誤って非管理版を仕事に使用しないようにする。
(10)保管文書の廃棄
旧版文書で保管期限を過ぎたものは、毎年3月末に原本の管理部門ごとに、部門長の確認を得て廃棄する。
さらに延期する場合は、期限の延長の表示をして保管する。
(11)文書の作成上の注意点
文書を作成するにあたり以下のことに注意する。
① 文書は読みやすく作成する。
② 文書の制定日または改訂日を記載する。
③ 品質文書ファイルに綴じて、品質文書として識別しておく。
④ 検索しやすいように、わかりやすい表示をして維持管理する。
(12)文書番号のつけ方
文書番号は、品質マニュアル、規程、要領にのみ付記する。最初の記号を次のように定める。
① 品質マニュアル「QM-1」第1次文書を示す。
② 規程「QP-201」第2次文書を示し、「QP-202」と順次つける。
③ 要領「QI-301」第3次文書を示し、「Ql-302」と順次つける。
□関連する文書
・内部監査規程
・品質記録管理規程