品質マニュアル①(中小会社・建設業)
品質マニュアル①(中小会社・建設業)のテキスト
品質マニュアル
目 次
1 総 則
1.1 目 的
1.2 適用範囲
2 適用規格
3 用語の定義
4 品質マネジメントシステム
4.1 品質マネジメントシステムの概要
4.2 文書化に関する要求事項
4.2.1 当社文書化の概要
4.2.2 品質マニュアル
4.2.3 文書管理
4.2.4 記録の管理
5 経営者の責任
5.1 経営者のコミットメント
5.2 顧客重視
5.3 品質方針
5.4 計 画
5.4.1 品質目標
5.4.2 品質マネジメントシステムの計画
5.5 責任、権限およびコミュニケーション
5.5.1 責任および権限
5.5.2 品質管理責任者
5.5.3 内部コミュニケーション
5.6 マネジメントレビュー
6 資源の運用管理
6.1 資源の提供
6.2 人的資源
6.2.1 一 般
6.2.2 力量、認識および教育訓練
6.3 インフラストラクチャー
6.4 作業環境
7 製品の実現
7.1 製品実現の計画
7.2 顧客関連のプロセス
7.2.1 製品に関連する要求事項の明確化
7.2.2 製品に関連する要求事項のレビュー
7.2.3 顧客とのコミュニケーション
7.3 設計・開発
7.3.1 設計・開発の計画
7.3.2 設計・開発へのインプット
7.3.3 設計・開発からのアウトプット
7.3.4 設計・開発のレビュー
7.3.5 設計・開発の検証
7.3.6 設計・開発の妥当性確認
7.3.7 設計・開発の変更の管理
7.4 購 買
7.4.1 購買プロセス
7.4.2 購買情報
7.4.3 購買製品の検証
7.5 施工およびサービスの提供
7.5.1 施工およびサービス提供の管理
7.5.2 施工およびサービス提供に関するプロセスの妥当性確認
7.5.3 識別およびトレーサビリティ
7.5.4 顧客の所有物
7.5.5 製品の保存
7.6 監視機器および測定機器の管理
8 測定、分析および改善
8.1 一 般
8.2 監視および測定
8.2.1 顧客満足
8.2.2 内部監査
8.2.3 プロセスの監視および測定
8.2.4 製品の監視および測定
8.3 不適合製品の管理
8.4 データの分析
8.5 改 善
8.5.1 継続的改善
8.5.2 是正処置
8.5.3 予防処置
1 総 則
1.1 目 的
○○建設は、建設工事に関連する業務を、品質マネジメントシステム規格に準拠して実施する。目的は、以下のとおり。
(1)顧客要求事項および規制要求事項を満たした製品を一貫して供給する。
(2)システムの継続的改善と効果的適用による顧客満足の向上を図る。
1.2 適用範囲
このマニュアルは、○○建設の作業場における土木・施工を含むすべての事業活動に適用する。
2 適用規格
JISQ 9001:2000品質マネジメントシステム―要求事項
JISQ 9000:2000品質マネジメントシステム―基本および用語
3 用語の定義
本マニュアルに関する用語の定義は、JISQ 9000:2000に準ずる。ただし、○○社特有の用語は以下に定義する。(編注、略)
4 品質マネジメントシステム
4.1 品質マネジメントシステムの概要
(1)一 般
○○社は、JISQ 9001/ISO 9001:2000の要求事項に合致した品質マネジメントシステムを確立、文書化、実施、および維持する。また品質システムの有効性を継続的に改善する。
(2)実施事項
○○社は、品質マネジメントシステムに必要なプロセスを明確にする。必要なプロセスを以下に記す。
□ 品質方針
○○社は、顧客ニーズに最大限応え、満足を得る土木・建造物の設計・施工を指向するため、以下の品質方針を定める。
1 社長は、「品質方針」を達成するため、期初に「期目標」を定める。
2 社内意思統一に留意し、顧客満足の向上を指向する。
3 品質マネジメントの着実な実行を通じシステムの継続的な改善を図る。
平成○年○月○日
○○社 代表取締役 ○○○○
4.2 文書化に関する要求事項
4.2.1 当社文書化の概要
当社の品質マネジメントシステム文書には下記事項を含む。
① 品質方針
② 品質目標
③ JISQ9001:2000が要求するプロセス(文書管理、品質記録管理、内部品質監査、不適合製品の管理、是正処置、予防処理)
④ プロセスの有効な計画、運営に必要な文書
⑤ 品質記録
4.2.2 品質マニュアル
当社は、下記内容を含む品質マニュアルを作成、維持する。
① 品質マネジメントシステムの適用範囲は、1.2「適用範囲」に示す。
② 文書化された手順は、4.2.1「当社文書化の概要」に示す。
③ 品質マネジメントのプロセス間の相互関係は、「品質マネジメントシステム体系図」に示し、品質マネジメントシステムに必要な個別のプロセスは、「品質マネジメントシステムプロセス一覧」に示す。
□ 品質マネジメントシステムプロセス一覧
プロセス 規格No, 所 管
- - 品質文書管理プロセス 4.2.3 品質責任者
- - 品質記録管理プロセス 4.2.4 品質責任者
P - 方針展開プロセス 5.1, 5.2, 5.3, 5.4 社 長
D p マネジメントシステム
実行プロセス 5.5, 6.1, 6.2, 6.3,
6.4 社 長
D p 製品実現の計画プロセス 7.1 開発部長
D p 顧客関連プロセス 7.2 営業部長
D d 設計・開発プロセス 7.3 開発部長
D d 購買プロセス 7.4 開発部長
D d 施行管理プロセス 7.5 建設部長
D c 監視および測定機器管理プロセス 7.6 品質責任者
D c 不具合製品管理プロセス 8.3 品質責任者
D a 是正処置プロセス 8.5.2 品質責任者
C - 測定分析一般 8.1 品質責任者
C - 顧客満足 8.2.1 営業部長
C - 内部監査 8.2.2 品質責任者
C - プロセスの監視測定 8.2.3 品質責任者
C - データの分析 8.4 品質責任者
A - 継続的改善 8.5.1 開発部長
A - 是正処置 8.5.2 開発部長
A - 予防処置 8.5.3 開発部長
P:Plan, D:Do(p:plan, d:do, c:check, a:action) C:Check, A:Action
4.2.3 文書管理
品質マネジメントシステムで必要な文書の制定・改訂・廃止の管理をするために、「品質文書管理プロセス」を制定する。
4.2.4 記録の管理
要求事項への適合、および品質マネジメントの適切な運用を実証するため、「品質記録」を作成し、保管する。
「品質記録」の識別、保管方法・期間、検索方法などのルールを規定するため、「品質記録管理プロセス」を制定する。
5 経営者の責任
5.1 経営者のコミットメント
社長は、品質マネジメントシステムの開発および実行ならびに改善に対して、以下項目を実施することによりコミットメントする。
(1)顧客要求事項および法令・規制要求事項を満たすことの重要性を社内に周知
(2)品質方針の設定
(3)品質目標を設定
(4)マネジメントレビューの実施
(5)資源の確実な使用
5.2 顧客重視
社長は、顧客満足の向上を図るため、5.1「経営者のコミットメント」を確実に実行することにより顧客要求事項が決定され、満たされるようにする。顧客要求事項の明確化については、7.2「顧客関連のプロセス」、顧客満足測定については8.2.1「顧客満足」に従う。
5.3 品質方針
社長は、当社の品質方針を以下のように定める。
○○社は、顧客ニーズに最大限応え、満足を得る土木・建造物の設計・施工を指向するため、以下の品質方針を定める。
1 社長は、「品質方針」を達成するため、期初に「期目標」を定める。
2 社内意思統一に留意し、顧客満足の向上を指向する。
3 品質マネジメントの着実な実行を通じシステムの継続的な改善を図る。
平成○年○月○日
○○社 代表取締役 ○○○○
5.4 計 画
5.4.1 品質目標
社長は、自ら品質目標を設定し、各部門に徹底させる。
品質目標は、「品質目標達成状況管理表」により管理する。
品質目標は、達成度が判定可能であり、品質方針と整合がとれていること。
5.4.2 品質マネジメントシステムの計画
社長は、規格の要求事項と品質目標を満たすために、品質マネジメントシステムの計画を作成する。これらの計画は、「品質マネジメントシステム体系図」、「品質マネジメントシステムプロセス一覧表」、および「マニュアル一覧表」の形で示される。
品質マネジメントシステムの計画が変更されたとき、各品質システムプロセス、各マニュアルの所管する者は、「品質文書管理プロセス」に基づき実施する。
□ マニュアル一覧表 ○…有 -…無
マニュアル名称 規格NO. 所管 ISO要求
1 文書管理規程 4.2.3 品質責任者 ○
2 品質記録管理規程 4.2.4 品質責任者 ○
3 品質方針 5.3 社 長 ○
4 品質目標 5.4.1 社 長 ○
5 品質マネジメントシステム体系図 5.4.2 社 長 -
6 プロセス一覧 5.4.2 社 長 -
7 規格NO.別-組織別責任分担・権限 5.5.1 社 長 -
8 品質システム実施状況報告書 5.5.2 社 長 -
9 マネジメントレビュー実施記録 5.6.1 品質責任者 ○
10 資格認定基準 6.2.1 品質責任者 ―
11 教育訓練実施記録 6.2.2 品質責任者 ○
12 業務・施行計画書 7.1、7.5 開発部長 ○
13 設計計画書 7.3.2 開発部長 ○
14 顧客要求事項確認書 7.2.2 営業部長 ○
15 設計レビュー記録 7.3.4 開発部長 ○
16 設計検証記録 7.3.5 開発部長 ○
17 妥当性確認記録 7.3.6 開発部長 ○
18 設計変更記録 7.3.7 開発部長 ○
19 供給先評価記録 7.4.1 開発部長 ○
20 特殊工程確認記録 7.5.2 建設部長 ○
21 トレーサビリティ記録 7.5.3 建設部長 ○
22 顧客支給品管理表 7.6 品質責任者 ○
23 測定機器管理表 7.6 品質責任者 ○
24 顧客満足評価報告 8.2.1 営業部長 -
25 内部監査報告書 8.2.2 品質責任者 ○
26 工程内検査記録 8.2.3 品質責任者 -
27 最終検査記録 8.2.4 品質責任者 ○
28 不適合成品処理報告 8.3 品質責任者 ○
29 データ分析結果報告 8.4 品質責任者 -
30 是正処理実施報告 8.5.2 開発部長 ○
31 予防処置実施報告 8.5.3 開発部長 ○
5.5 責任、権限およびコミュニケーション
5.5.1 責任、権限およびコミュニケーション
社長は、責任、権限および相互関係を組織図、および責任および権限に定め、関係者に周知する。
□ 責任および権限
主要業務の責任と権限を以下に示す。
機 能 責任者
品質マネジメント管理 品質責任者
設計業務 設計部長
工事管理・施工管理業務 建築部長
保全業務 建築部長
5.5.2 品質管理責任者
社長は、品質マネジメントの管理責任者として、品質責任者を任命し、次の権限と責任を与える。
① 品質マネジメントシステムに必要なプロセスを確立、実行、維持する。
② 品質マネジメントシステムの実施状況および改善の必要性に関する有無などについて、計画に対する実施状況、不具合の発生および予防処置・是正処置の実施状況などをもとに社長に報告する。
③ 全役職員に対して、顧客要求事項に対する認識を深めさせる。
5.5.3 内部コミュニケーション
社長は、社内コミュニケーションの手段として、定例の役員会、部内会議などの社内の諸会議や会議報告データベース、社内ネットワークなどを活用して、社内に周知徹底する。各コミュニケーションの結果は報告書、記録などの形でデータベースに保管する。
5.6 マネジメントレビュー
社長は、品質マネジメントシステムが、適切、有効であるようにするため、毎年1回、品質マネジメントシステムのレビューを行う。レビュー項目は以下のとおり。
(1)監査結果(内部監査、外部監査)
(2)顧客のフィードバック(顧客の評価、苦情)
(3)プロセスの実施状況および製品の適合性(不具合製品報告書、検査記録)
(4)予防処置および是正処置(予防・是正処置実施報告)
(5)品質マネジメントシステムにインパクトを与える変更
6 資源の運用管理
6.1 資源の提供
各部長は、次の事項に必要な資源(要員、施設、設備、作業環境、資金、技術・技能など)を明確にし、提供する。
(1)品質マネジメントを実施し維持する。また、その有効性を継続的に改善する。
(2)顧客要求事項を満足することにより、顧客満足を向上する。
6.2 人的資源
6.2.1 一 般
各部長は、建造物の品質に影響のある業務に従事する下記表の特定業務従事者に対して、力量のあることを確認し従事させる。
特定業務従事者 必要資格
設計責任者 一級建築士
工事管理者 一級建築士
現場責任者 入社後3年以上の経験を持つ一級建築士、一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士
内部品質監査員 内部品質監査員研修の修了者
6.2.2 力量、認識および教育訓練
総務部長は、教育訓練プロセスに基づき次の事項を行う。
① 各部長は、建造物の品質に影響のある業務に従事する要員に必要な力量を6.2.1により明確にする。
② 必要な力量が持てるように教育・訓練する。
③ 実施した教育・訓練の有効性を、必要な力量に対する到達度により評価する。
④ 各部長は、要員に対し、自分の業務と品質との関連性、活動の重要性の認識、および自らの品質目標達成に対する貢献について認識させる。
⑤ 教育、訓練、技能、経験などについて、該当する記録は、「教育訓練実施記録」に維持する。
6.3 インフラストラクチャー
製品要求事項への適合性を達成するために必要なインフラストラクチャーを「業務・施行計画書」に明確にする。インフラストラクチャーを下記に示す。
(1)事務所、作業所、関連施設の設備、ユーティリティ(電気、ガス、水道、エアなど)
(2)輸送、通信などの支援機能
6.4 作業環境
製品要求事項への適合性を達成するために必要な作業環境として、安全・環境面の体制を「業務・施行計画書」において明確にし、管理する。
7 製品の実現
7.1 製品実現の計画
○○社は、製品実現のために必要な業務プロセスを、「プロセス一覧表」に定める。
製品実現プロセスの計画において、品質計画(下記事項)を「業務計画書」の中で決定する。
(1)設計段階・施工段階における製品に対する品質目標および要求事項
(2)設計段階・施工段階のプロセスおよび必要な資源
(3)土木・建造物のための検証、妥当性確認、監視、検査および試験、ならびに土木・建造物の竣工段階での合否判定基準
(4)建造物建設のプロセスおよびその結果として建造物が、要求基準を満たしていることを実証するために必要な品質記録
7.2 顧客関連のプロセス
7.2.1 製品に関連する要求事項の明確化
営業部長は、「顧客要求事項確認書」において以下の事項を明確にする。
① 顧客が規定した要求事項
② 建物本来の使用目的または常識的な使用に必要な要求事項
③ 製品に関連する法令・規制要求事項
④ ○○社が設定した追加要求事項
7.2.2 製品に関連する要求事項のレビュー
① 営業部長は、製品に関連する以下の要求事項をレビューする。レビューは、顧客へ建造物を建築し引き渡す契約の前に行う。
・製品要求事項が定められていること。
・見積時の要求事項と契約時の要求事項が異なるときは、食い違いが解決されていること
・顧客要求事項を満たす能力を持っていること(設計力、施工能力)
② 本レビュー結果の記録および処置結果の記録は、品質記録として保管する。
③ 顧客が書面で要求事項を示さない場合は、設計または工事契約の前に、打合せ記録などで要求事項を確認する。
④ 製品要求事項が変更された場合、関係文書を訂正して関係する要員に変更された要求事項を確実に伝達する。
7.2.3 顧客とのコミュニケーション
営業部長は、顧客とのコミュニケーションを図るために、以下事項につき確認する。内容は「顧客打合せ記録」、「苦情処理報告書」に記録する。
① 新工法などの情報
② 引合い、契約、注文または変更
③ 苦情を含む顧客からのフィードバック
7.3 設計・開発
7.3.1 設計・開発の計画
① 開発部長は、設計・開発業務の管理を「設計プロセス」に基づき行う。同様に、製品の設計・開発の計画を「設計計画書」に作成、管理する。
② 開発部長は、「設計計画書」において以下事項を明確にする。
・設計・開発の各段階(概要設計、詳細設計)
・設計・開発の各段階に適したデザインレビュー、検証および妥当性確認の活動
・設計・開発に関する責任および権限
③ 開発部長は、効果的なコミュニケーションおよび責任区分の明確化を図るため、該当する場合には、設計・開発に関係するメンバーとのプロジェクト会議を運営・管理する。
④ 「設計計画書」は、設計・開発の進行に応じて、適宜更新する。
7.3.2 設計・開発へのインプット
① 開発部長は、「設計計画書」において以下の製品要求事項に関するインプットを「設計計画書」において明確にする。
・機能および性能に関する要求事項
・適用される法令、規制要求事項
・適用可能な場合には過去の類似設計から得られる情報
・設計・開発のため不可欠なその他要求事項
② 開発部長は、インプットの適切性をレビューする。
7.3.3 設計・開発からのアウトプット
① 開発部長は、設計・開発プロセスからのアウトプットを、設計・開発へのインプットと対比して検証できる様式で掲示する。
② 開発部長は、アウトプットを発行する前に承認する。
③ 開発部長は、設計・開発からのアウトプットが下記項目を満足していることを確認する。
・設計・開発へのインプットで与えられた要求事項
・購買、施工およびサービス提供に対して適切な情報を提供
・製品の合否判定基準を含むかまたはそれを参照
・安全な使用および適正な使用に不可欠な製品特性を明記
7.3.4 設計・開発のレビュー
開発部長は、7.3.1で定めた設計・開発の適切な時期において下記目的のため体系的なデザインレビューを行う。
① 設計・開発の結果が要求事項を満足させるかどうかを評価
② 問題点を明確にし、必要な処置を提案
③ 本レビューの結果および必要な処置を「設計・開発レビュー記録」に記録管理
7.3.5 設計・開発の検証
開発部長は、設計・開発からのアウトプットが、設計・開発へのインプットで与えられている要求事項を確実に満たすために、「設計計画書」に基づき検証する。検証結果の記録は、「設計検証記録」に記録し管理する。
7.3.6 設計・開発の妥当性確認
開発部長は、製品が指定された用途または意図された用途に応じた要求事項を満たすため、「設計計画書」に従って、設計・開発の妥当性確認を実施する。
妥当性確認は、製品の引渡しまたは提供の前に完了するものとする。
妥当性の記録および必要な処置は、「妥当性確認記録」に記録し管理する。
7.3.7 設計・開発の変更の管理
開発部長は、設計・開発の変更を明確にし、「設計変更記録」に記録し承認する。変更に対して、設計・開発のレビュー、検証および妥当性確認を必要に応じて行う。
変更のレビュー結果の記録および必要な処置は、「設計変更記録簿」に記録し管理する。
7.4 購 買
7.4.1 購買プロセス
開発部長は、規定された購買要求事項に、購買製品を確実に適合させるため、購買プロセスに従い業務を実行する。
開発部長は、供給者および購買製品に対する管理の方式、程度について、購買製品がその後の製品実現プロセスまたは最終製品に及ぼす影響に応じて、「業務計画書」の中で明確にする。
開発部長は、供給者が当社の要求事項に従って製品を供給する能力を判断するため、供給者を評価、選定する。評価、選定の根拠は、「供給者選定・評価基準」による。
評価結果の記録および評価の結果、必要な処置は、「供給者評価記録」に記録し保管する。
7.4.2 購買情報
開発部長は、供給者に対して、購買情報として下記の要求事項を明確にする。
① 購買品の種類、名称、手順・プロセス・設備の承認に関する事項、仕様、数量、価格に関する要求事項
② 要員の資格を含む適格性に関する要求事項
③ 品質マネジメントに関する要求事項
開発部長は、供給者へ購買要求事項を伝達する前に、要求事項の妥当性を建設部長とともに確認する。
7.4.3 購買製品の検証
開発部長は、購買製品が規定した購買要求事項を確実に満たすため、必要な検査として受入検査を「業務計画書」に定めて実施する。
○○社またはその顧客が、供給者先で検証を実施することにした場合、開発部長は、その検証の要領および出荷許可の条件を明示する。
7.5 施工およびサービスの提供
7.5.1 施工およびサービス提供の管理
○○社は、品質方針・目標の達成度を実証するために、実施すべき監視および測定を「施工計画書」において明確にする。個別作業に必要な監視・測定機器も個別プロジェクトごとに作成する「施工計画書」に記述する。また手順、頻度および基準なども明確にしておく。
監視・測定機器は、校正状態を「測定機器管理台帳」で管理する。
7.5.2 施工およびサービス提供に関するプロセスの妥当性確認
建設部長は、アウトプットが事後の検査・試験などでは検証できない特殊な建設プロセスでは妥当性確認を行う。妥当性確認は、下記工事について行う。
① 鉄骨溶接工事
② 杭打ち工事
③ 鉄筋圧接工事
④ 地下躯体防水工事
建設部長は、プロセスの妥当性を「施工計画書」に定め、結果は、「特殊工程確認記録」に記録する。
7.5.3 識別およびトレーサビリティ
製品誤使用防止のための識別の適用は、施工段階の購入品に対して適用する。
購入品識別の方法は、下記による。
① 納入伝票と購入品に記された表示
② 各種施工図
③ メーカリスト
製品トレーサビリティが顧客要求事項になっている場合は、購入品について、固有の識別を管理し、「トレーサビリティ記録」に記録する。
7.5.4 顧客の所有物
建設部長は、顧客より支給される物品については、「顧客支給品管理台帳」に記録し、管理する。不適合品があった場合は、直ちに顧客に連絡し対応を協議する。
建設部長は、支給品の保管期間に紛失、損傷など使用に不適切と判明した場合は、顧客に報告しその内容を記録する。
7.5.5 製品の保存
建設部長は、顧客引渡しに至るまで、購入製品、建造物の損傷劣化を防ぐために適切な取扱い、養生を行う。
7.6 監視機器および測定機器の管理
(1)開発部長は、要求事項に対する製品の適合を実証するために必要な、監視および測定、およびそれに使用する機器を「施工計画書」において明確にする。
(2)設計部長は、監視および測定の要求事項との整合性を確保する方法で、監視および測定ができるようなプロセスを確立する。
(3)測定機器類は、「測定機器管理台帳」で管理する。
(4)測定値の精度が保証されなければならない測定・監視機器の校正については、その必要がでた場合には、認定機関へ外注する。
(5)測定機器類は、取扱い、保守、保管の際、損傷および劣化のないよう保護する。
8 測定、分析および改善
8.1 一 般
品質責任者は、○○社の提供する建造物の適合性の保証、品質マネジメントシステムの適合性の確実化、品質マネジメントシステムの有効性の継続的改善に向けて監視、測定、分析および改善のプロセスを計画する。
このプロセスの計画には、統計的手法の使用も含む。
8.2 監視および測定
8.2.1 顧客満足
品質責任者は、品質マネジメントシステムシステム実施状況の測定の1つとして、顧客要求基準を満たしているかどうかに関して、顧客の受止め方を監視するため、顧客満足度調査を実施する。
この情報の入手は、「顧客打合せ記録」、「苦情処理報告書」などによる。
8.2.2 内部監査
○○社は、品質マネジメントシステムが、適切に実施され維持されているか否かを明確にするために、毎年2回、内部監査を実施する。目的を以下に記す。
① 品質マネジメントシステムは、個別プロジェクト計画に適合しているか、本規格の要求事項に適合しているか。
② 設定された方針・目標が達成されているか。
内部監査の計画に関しては、以下の各項に記す。
① 品質責任者は、各業務の品質上の重要性および前回の監査結果などを勘案して、毎年度初めに内部環境監査の年間計画を立てる。
② 顧客からの重大な苦情や不適合などが発生した場合、また大きく品質に影響を与えるようなプロジェクト、新製品、新プロセスなど状況変化があった場合を含め、品質責任者が必要と認めたときには、年間計画とは別に随時監査を実施する。
③ 監査プログラムの定期的実施については、工事現場は2回/年または工期が6カ月以内の現場は工期内に1回監査を行う。事務所、作業場は2回/年監査を行う。
④ 品質監査の範囲、頻度、方法および監査結果の報告などについては、「内部品質監査管理規程」に沿って行う。
内部監査の実施については、以下に記す。
① 品質責任者は、内部監査を実施する度に、内部監査チームメンバー、および監査リーダ1名を指名する。メンバーの選定は、監査プロセスの客観性、公平性を確保すべく留意する。
② 監査員は、自らの仕事は監査しない。
③ 監査リーダーが必要と判断した場合、内部監査チームへの技術専門家の参入ができる。
④ 内部監査チームは、監査の計画および品質問題など事前に得られている情報を含め監査チェックリストを作成しそれを利用して監査を実施する。
⑤ 内部監査チームリーダーは、指摘事項がある場合は、「不適合処置書」を発行し、また監査結果を「内部監査報告書」に記録する。監査結果は、社長および品質責任者に報告される。
監査のフォローアップについては、以下に記す。
① 監査リーダーは、監査結果である「不適合処置書」の内容を検討し、フォローアップ審査が必要か否かを決定する。不要の場合はその旨記入する。
② 必要と認めた場合は、フォローアップ審査にて是正処置の内容およびその結果につき確認する。
8.2.3 プロセスの監視および測定
建設部長は、品質マネジメントシステムプロセスを「施工計画書」に定めた方法で監視する。このため、適用可能な場合には、「施工計画書」に従ってプロセスを自主検査する。検査結果は、「自主検査記録」に記録する。
計画どおりの結果が出ていない場合は、建造物の適合性の保証のため、是正処置をとるものとする。
8.2.4 製品の監視および測定
建設部長は、建造物が製品要求事項を満たしていることを検証するために、最終検査を実施する。最終検査は、「業務計画書」に従って完了検査、および引渡し検査において実施する。
合否判定基準への適合状況は、「最終検査記録」により記録し保管する。記録には設計部長、および建設部長の承認を必要とし、明記する。
8.3 不適合製品の管理
○○社は、8.2.4の実施による製品要求事項に適合しない不適合製品を、誤使用したり、引渡しされることを防止するための管理を「不適合製品管理プロセス」に規定する。
8.4 データの分析
品質責任者は、品質マネジメントシステムの適切性および有効性を実証するため、また品質マネジメントシステムの継続的な改善の可能性を評価するため、「データ分析手法プロセス」に基づき、顧客苦情報告書、品質記録、内部監査記録などの適切なデータを収集し、分析する。
品質責任者は、「データ分析結果報告書」により以下の事項を社長に報告する。
① 顧客満足
② クレーム状況
③ コスト状況
④ 建造物性能データ
⑤ 供給者の評価
8.5 改 善
8.5.1 継続的改善
品質責任者は、4.1品質マネジメントシステムの概要に示す品質マネジメントシステムプロセス図のフローを継続的に実施することにより、品質マネジメントシステムの有効性を継続的に改善する。
8.5.2 是正処置
品質責任者は、不適合の再発防止のため「是正処置プロセス」を定め、不適合の原因を除去する是正処置をとる。「是正処置プロセス」には以下事項を含む。
① 顧客の苦情および不適合に対する情報の収集と評価
② 不適合の原因の特定
③ 不適合再発防止活動の必要性の評価
④ 必要な是正処置の決定実施
⑤ 実施した是正処置の結果の記録作成
⑥ 実施した是正処置の評価
8.5.3 予防処置
品質責任者は、発生する可能性のある不適合の発生を防止するために、「予防処理プロセス」を定め、不適合の原因を除去する。なお実施する予防処置は、起こり得る問題の影響度に見合ったものとする。「予防処置プロセス」には以下事項を含む。
① 発生の可能性のある不具合およびその原因の特定
② 不具合の発生を予防するための処置の必要性の評価
③ 必要な予防処置の決定および実施
④ 実施した予防処置の結果の記録作成
⑤ 実施した予防処置の評価